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[Myblog Japan 新着記事]

Myblog japan


2003.10.18 Myblog Japanに掲載されました。

この国は「教育」をどう考えているのか?――「先進国最低水準」の評価は真っ当 - 教育

教育機関への財政支出、日本は加盟国で最低・OECD(日本経済新聞)

経済協力開発機構(OECD)が14日発表した「図表で見る教育」(2004年版)によると、教育機関への財政支出で日本がトルコと並んで加盟30カ国最低との結果が明らかになった。高等教育の現場で女子学生や留学生が際だって少ない実態も浮き彫りとなった。

取り立てて驚くほどのこともない。余丁町散人氏も「Letter from Yochomachi」のエントリで以下のように指摘している。

日本では親に教育費の負担が行っているということ。これはGDPデフレーターにも表れない数字だが、国民生活をかなり圧迫する要因となっていると見る。日本の一人あたりGDPが大きいとかいって日本は豊かだなんて喜んでいる人はミスリードされているね。



このことに関して、知っておいて欲しいことがある。
世界人権宣言」(リンク先は外務省による仮訳文)を具体化するものとして採択された「国際人権規約」のうち、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(もうひとつは「市民的及び政治的権利に関する国際規約」:リンク先はともに松山大学の田村教授によるもの、「Next」リンクを何回もたどる外務省のサイトより読みやすい)という規約がある。この第13条には、「教育についての権利」として、以下のように書かれている。

1 この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。締約国は、教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し並びに人権及び基本的自由の尊重を強化すべきことに同意する。更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。

2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。

(a) 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。

(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。

(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。

(d) 基礎教育は、初等教育を受けなかった者又はその全課程を修了しなかった者のため、できる限り奨励され又は強化されること。

(e) すべての段階にわたる学校制度の発展を極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し及び教育職員の物質的条件を不断に改善すること。

3 この規約の締約国は、父母及ぴ場合により法定保護者が、公の機関によって設置される学校以外の学校であって国によって定められ又は承認される最低限度の教育上の基準に適合するものを児童のために選択する自由並びに自己の信念に従って児童の宗教的及ぴ道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。

4 この条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行われる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。

特に注目すべきは2の(b)(c)の項目である。実は日本政府は、
第13条2(b)及び(c)への留保(筆者註:「留保」とは、規約には総論賛成だが、各論として受け入れられない部分がある、という意思表示)
(1) 我が国においては、義務教育終了後の後期中等教育及び高等教育に係る経費について、非進学者との負担の公平の見地から、当該教育を受ける学生等に対して適正な負担を求めるという方針をとっている。
 また、高等教育(大学)において私立学校の占める割合の大きいこともあり、高等教育の無償化の方針を採ることは、困難である。
 なお、後期中等教育及び高等教育に係る機会均等の実現については、経済的な理由により修学困難な者に対する奨学金制度、授業料減免措置等の充実を通じて推進している。

(2) したがって、我が国は、社会権規約第13条2(b)及び(c)の規定の適用にあたり、これらの規定にいう「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束されない権利を留保している。

という理由(ソースは外務省の留保理由等の説明文書)をつけて、「中等教育(高校)以上については、受けられない人もいるのだから、受ける人(=受益者)負担が当然」と開き直っているのである。

 当然、これに対して国連の「経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会」は、その最終見解(リンク先は外務省による仮訳文)として
11 委員会は、締約国の規約第7条(d)、第8条2項、第13条2項(b)及び(c)への留保に関し、委員会が受け取った情報によれば、それらの権利の完全な実現はまだ保障されていないことが示されている一方、締約国が前述の条項で保障された権利をかなりの程度実現しているという理由に基づいて、留保を撤回する意図がないことに特に懸念を表明する。
……
34 委員会は、締約国に対し、規約第7条(d)、第8条2項、並びに第13条2項(b)及び(c)への留保の撤回を検討することを要求する。
(外務省注:第8条について留保しているのは、第2項ではなく第1項(d)である。)
(外務省注:訳文中の「締約国」は、日本を指す。)

と、批判的な見解を示している。
 ちなみに日本政府は、この最終見解に対しても「最終見解に関する締約国の意見」として
パラ34及び48(筆者註:不可欠な業務に従事していない公務員のストライキ権)に関し、我が国の行った留保については、締約国として条約法条約に規定する正当な手続に従って行っているものであるところ、貴委員会がその権限の範囲内において正当な関心を有することは理解し得るが、これらを撤回するか否かは締約国の主体的な判断に委ねられるべきであると考える。

と、「どうするかはわれわれの勝手」的論述を展開しており、まったく改善する気がないのである。



 日本の「教育」は、政財界の利害の一致により、「必要最低限度の知識・教養を持ち、かつお上に刃向かわない従順な人材」を育てることを旨としてきた。しかも、「消費社会」において「子ども」は格好の「消費手段」以外の何者でもなく、決して「将来のための投資対象」ではないため、「子どもについての投資」は全面的に親に任されてしまった。そのため、わが国では親が他国に比べて異様に高い教育費の出費を強いられる結果となり、近年では明らかに「教育機会の不均等による階層化社会」が出現している(リンク先は東京新聞特報記事)、と言われている(東京大学合格者の世帯年収平均が1,000万円を超える、というのは有名な話)。

 百歩譲って、「中等教育以上を受けるのにふさわしい学力が身に付いていない」者までが「中等教育以上」の場にいることはよろしくない、というのは事実かも知れない。しかし、特に高等教育を受けるにふさわしい学力を持ち、親の経済状態だけを理由に満足に高等教育の場に進めない青年が多数いるとするなら、それは日本にとって「人『財』確保」の面からも大変不幸なことである。しかも、階層化社会の進展は、明らかに国民全体としての活力の減退につながっていく(「『社会階層・意識に関する研究会』報告書」を参照のこと)のである。

 「三位一体改革」という名の「地方いじめ」においても、財源移譲の対象の中に「義務教育費」がはいり、これに関して種々の議論がなされていることにも、この国の「エライ人」たちの「教育」に対する考え方が伺える。これでは、「先進国中最低」の評価もきわめて真っ当と言わなければならない。このような「教育=コスト負担」という考え方に支配される社会に明るい未来はあるのか。今回の統計結果を基礎資料として、いますぐまじめに考えないといけない重要課題である。


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2004-09-15 19:34:00 | この記事だけ表示 | | Clip!

もう一度国立大学の「独立行政法人化」を考える - 教育

国立大学が4月1日付けで「独立行政法人」化された。しかし、その行く先に懸念を表明している人が多い。

私も以前、「この国は『教育』をどう考えているのか?」というエントリーで、財務省から予算面での束縛を受けること、ならびにその結果として「先進的な教育研究」が阻害され、大学の存在意義を踏みにじられる可能性を述べた。
また、「嗤って……許せるのか?/国立大学を「独立行政法人」にする理由は……」では、長野県知事・田中康夫氏の見解(天下り先を確保し、影響を行使する)もご紹介した。

そこにもう一人、「Junjiro Hara\'s Blog/独法化の結末は」で、junharaさんがこう意見されている。
文部科学省から独立、自らの責任で大学の運営ができることに、だれも反対はない。しかし、果たして独立できるのか、大学人からかねて疑問視する声があった。
一足先に独法化した各省庁の研究機関の中で、優等生といわれていたのが経済産業研究所(RIETI)だが、その行く末に暗雲がたれ込めている。
独立させたといいながら本省が人事に介入したことから、研究所内でごたごたが始まり、ノーベル経済学賞受賞の可能性が高いといわれる研究所長はじめ、有力研究員が相次いで離職しているのだ。
(中略)
RIETIでさえ独立を保てないとなると、独法化された大学が独立を維持できるのか、きわめて疑わしい。時の政権や本省からの介入を避けるため、大学が萎縮したり、自主規制したり、するなら、独法化は骨抜きになる。


田中氏やjunharaさんの主張からは、文部科学省から影響を行使されることへの憂慮がにじみ出ている。これに私の以前のエントリーでの意見を組み合わせると、お金の面でも、人事の面でも、結局「官」に支配され、本当の意味での「独立」性を発揮し得ない「独立行政法人」の姿が見えてくる。しかも、junharaさんのエントリーからは、東京都立4大学改め「首都大学東京」(の予定)のように(これも以前「東京都知事に都立諸大学『改革』の資格なし!」という記事を書いたが)、「独立行政法人」への「政治家」による介入の可能性すら浮かび上がってくる。

とかく「教育」とは「時の政治勢力(およびその裏にいる官・業)の意見に従い、文句を言わない国民を育てること」がその目的になりがちな昨今、実質的に「独立」どころか大いに「束縛」されている大学ばかりになってよいものであろうか? 少なくとも国民の側から、どのように「独立行政法人」としての大学群が変わっていくのか、きちんと監視し続けていく必要があろう。


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2004-04-04 23:29:31 | この記事だけ表示 | | Clip!

再考――「習熟度別授業」は誰のためのものか - 教育

大阪市、全小中学校で習熟度別授業 新年度から順次拡大
(朝日新聞)


ごきげん/習熟度別授業について(1)さんから、前の記事(「『習熟度別授業』は機会平等への大事な道筋」)にトラックバックをいただきました。教える側からのニーズについてと、実施した場合の効果/逆効果について、学校ごとの条件に留意しながら書き進めようとされていて、今後の展開が楽しみです。ちなみに前の記事は、私がこのBlogをはじめて以来の反響をいただいているのですが、それだけ教育にかかわる方々にとって、重要な問題だと考えられているのでしょう。

さて、私がその記事の中で
できる人はとことん、そうでない人はそれなりにできるように
と書いたのですが、書いた後に苅谷剛彦さんの主張(そうでない人の「底上げ」が重要)、後ほど書評させていただく予定の池本美香さんの主張(親の「教育権」はどこに?)や、参照記事を読ませていただいた上で、前回の記述では不足していたと考える部分を書かせていただきます。

参照記事には「習熟度別授業」について大変重要な視点が提供されています。たとえば、
昨年実施した小学6年と中学3年の学力実態調査で、成績が二極化する傾向があったことなどから、学習到達度の違う子どもを画一的に指導する弊害を少なくするため、習熟度別学習の本格導入を決めた。
という部分などは、まさに「教育による階層化社会の進化」に対抗して、「できない人の底上げ」に配慮したものになっているといえましょう。(「できない人の底上げ」には、その次世代での「逆転」を可能にする、という意味も含まれます。)
そして、それよりもっと重要なのは、
授業を楽しいと思ってもらうことが、やる気につながる
という大平和代助役の発言内容です。

児童・生徒に「あほクラス」の屈辱を味わわせることよりも、むしろ「わかる」授業、丁寧な指導を行うことで、子どもの学習意欲を高め、親の理解を得ていくようにする。このことこそ、公教育で「習熟度別授業」をすすめていく上で、もっとも考慮しなければいけない点です。もちろんそのためには、教える側の「学習指導力」向上が欠かせません。教える側にとって、最初はどうしても「試行錯誤」があると思いますが、合同での教育研究などを通して、成功例・失敗例に学び、よりよいかたちを追究していって欲しいと思います。

「習熟度別授業」は、あくまでも授業を受ける子どもたちのためのものであり、それが将来の社会の活力を保ち、次世代への「夢」をはぐくんでいくことへとつながっていく、ということについて、もっと理解が広がっていくべきだ、と私は考えます。


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2004-03-08 12:20:00 | この記事だけ表示 | | Clip!

「習熟度別授業」は機会平等への大事な道筋 - 教育

Ladybl@g/習熟度別授業に批判集中
こすもす/習熟度別

※おおもとの記事は、習熟度別授業に批判集中 日教組教研集会閉幕(共同通信)

「自分も高校時代に能力別授業を受けた。『あほクラス』と呼ばれ卑屈な思いをした」「子ども同士の学び合いや学級集団としての成長を分断している」

……この方々は、「習熟度別学習」の大事な一面を見ていない。そう、できる児童・生徒から、どんどん勉強を進めていける権利を剥奪しているのである。

現代は、お金持ちでないとよい教育が受けられない時代になりつつある。
東大生の家庭の平均年収は1016万円
とする、東京大学・学生生活実態調査の結果(「平均」だけですべてを語ることの危険性は熟知しているが、単純に国民の「世帯平均年収」とこの数値を比べると、その高さ=約1.3倍=は、かなり有意な差と言える)などは、そのひとつの証拠といえる。

厳しい入試をなくし、もっと軽い負担で高等教育を受けられるように、との論調もあるようだが、それ以前に「できる人もできない人も同じ内容の教育」という「悪平等主義」を、「できる人はとことん、そうでない人はそれなりにできるように」する、真の「教育の機会均等」を実現し、「高所得層だけが高所得層を再生産する」階級化社会の進化をストップさせることこそが、いまの教育には必要なのではないか。

教育現場は、習熟度別学習の本来の目的を充分認識し、「あほクラス」といわれることによる差別がひどくならないよう留意しながら、正しい運用を目指すべきである。それが本当の社会の「機会均等」へとつながる道筋を作ることなのであるから。

※参考文献
京都教育センター/ひろば135号「公立中高一貫校を考える すべての子どもによい教育環境を(市川 哲)」
小浜逸郎ライブラリ/歴史上最愚策「ゆとり教育」の元凶を糺す
月刊ISM 2001年7月号/21世紀北海道の鍵握る高等教育改革 学費無料化で人材発掘

【追記】一部記述が不明確(というよりおかしい)になっていたので、訂正しました(コメント参照)。


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2004-02-17 00:38:12 | この記事だけ表示 | | Clip!

正しく捉えよう――「性教育」が持つ本来の意味 - 教育

河北新報社説(1/15):性教育/幅広い意義を認識すべきだ

性教育についてきわめて正しくその意義を認識した上で、どうすべきかを論じたこの社説は秀逸であり、性教育について疑問に思っていらっしゃる方には必読です。

特に大事な部分だけ抜き出しておきます。
性教育とはもちろん、単に生殖や生理の知識を伝えるだけのものではない。人と人との豊かな関係のあり方を学び、命の尊厳について考え、体と心の健康を守るすべを知る教育である。

 自分の存在を大切に思う自尊意識をはぐくむものであり、自らの生き方を主体的に選択していく力を養うものである。性別や人種の違い、障害の有無などにかかわらず多様な人々が共生するための人権教育でもある。
 ドメスティックバイオレンスやセクシュアルハラスメント、性暴力など、今、大人社会が抱える深刻な問題も、こうした広い意味での性教育の充実が、改善の糸口の一つになるだろう。

……もう何も付け加えることはありません。強いて言うなら、タイトルこそ出ていなかったものの文中で触れられていた「ラブ・アンド・ボディ・ブック」については、その復刊を強く求めます。


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2004-01-19 21:23:45 | この記事だけ表示 | | Clip!




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